20190929

8月某日、職場の飲み会が一度お開きになって、残った何人かで公園へ行く事になった。既になかなか酔っていたのでヘロヘロになりながらも、遊具に腰掛けたり少し遊んでみたりしていた。

    不意に、30歳前後と思しき男2人に話しかけられる。もちろん警戒心もあったが、なんとなく彼らの佇まいにシンパシーを感じてしまう部分があり、会話に応じた。彼らのうち1人がライジングサンロックフェスティバルという北海道で行われる音楽イベントのTシャツを着ていて、趣味嗜好に関して通づる部分がありそうな気がした。

    2002年に解散をしたナンバーガールが今年の2月に再結成し、ライジングサンへの出演を発表した。Tシャツを着ていた彼も、今年、ナンバーガールを目当てに行くのだという話を聞いてこちらまで気持ちが昂ぶる。2人ともバンドをやってて、ナンバーガールの曲は何度も演奏した事があるらしく、俺もバンドの経験がある事を伝えると、今から楽器でも鳴らしちゃおうよという事になり、カラオケに行くようなフットワークで都立大学駅近くの音楽スタジオへ向かった。

   レンタルしたフェンダーのギターをマーシャルに繋いで、雑なセッティングでガコーンと弦を震わせた。正直、成り行きの演奏なんて人に聴かせられるようなものではないが、3人とも精神的にはかなりロックンロールだったと思う。非日常の浮遊感と深夜の倦怠感、明日も仕事なのにという後ろめたさなんかがぐちゃぐちゃになって音として昇華された。朝が近づいてきて、俺たちはふらつきながら街を歩いた。